FEM解析の事例紹介「Oリングによるシール」
O-リングを使用したシールの、抗力・内部応力の予想
軸回転体モデルで解析します。
右図では、O-リングの断面図のようになっています。見方としては、断面の下がO-リングの内周、上が外周となります。右側は溝から少々はみ出しており、これが締め代となります。
今回は、この締め代分を圧縮し、O-リングをシールパッキンとして使用した場合の解析をしてみます。
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解析により、下図のような結果になりました。
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応力分布図です。
内部の応力分布により、中心部の応力が高いことが判ります。異常な応力集中も無いようです。

抗力ベクトル線図です。
(本来なら矢印の向きは内側なのですが、見えにくくなる為、逆向きにしています。)
単純シールでは、大抵この様になります。(本来は、O-リングの内径よりも大きなハウジングをはめるのですが、今回は同径のハウジングとしました。)
ハウジングの幅が狭い場合の解析もしてみましょう。
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応力分布図です。
ほとんど赤から黄色で、O-リングに相当な応力がかかっています。
変形の様子を見ましても、溝いっぱいに広がり下手をするとはみ出しかねない様子です。
これは、ゴムが体積変化をしない為に起こります。
ゴムというのは伸び縮みしますが、体積変化を起こすわけではありません。 圧縮した場合、圧縮された体積分は他の所で膨らんでいます。
ゴムに無理な力がかからないよう、変形させるときには周りに余裕を持ちましょう。
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抗力ベクトル線図です。
ゴムにかかる力の大きさが、よく分かると思います。